情報可視化学 講義メモ
本記事について
本記事は筆者が大学院で受講した講義を復習用にまとめたものです。
受講する度に内容を加筆していきます。
万が一、内容に間違いや不適な表現がありましたら、コメントで指摘をいただけると幸いです。
内容ごとに見出しを分ける予定ですが、一つの科目ごとに単一の記事で記載します。
もしかしたら、途中で方針を大幅に変えるかもしれません。ご了承ください。
情報可視化の基礎知識
可視化とは?
一般的に可視化(Visualization)には2つの意味がある.
- 見えないものを見えるようにする
- 見えにくいものを見やすくする
情報可視化学では後者の可視化を行い,人間の視覚的認知能力を活用した情報の伝達を行う手法について学ぶ.
情報可視化の様々な例
チャーノフの顔グラフ
こちらの解説がわかりやすかったです.
メタファー
実社会における情報可視化の応用例
・流体力学:
流れのデータ(時間変化)
・自動車・建築物:
設計,構造・振動解析結果
・医用画像:
MRI, CT, PET
・ネットワーク:
遺伝子ネットワーク,論文共著関係,SNS
・地図:
ハザードマップ,位置情報サービス
ビッグデータと可視化
情報可視化は,ここ数年で非常に浸透してきた.その背景には使えるデータの増加がある.
・センサデータの多様化
・記憶装置の大容量化,低コスト化
・計算機パワーの向上
といった要因により,大規模データ処理とコンピュータグラフィックスが発展.
さらに,リアルタイム性の向上(データ処理・描画能力の高速化)で,インタラクティブ可視化システムが実現!
・探索的データ分析
・視覚的分析(Visual Analytics)
が重要となる.
科学的可視化と情報可視化
情報の可視化は科学的可視化と情報可視化に大きく分けられる.
両者の違いは特別な属性を持つか否か,である.
特別な属性とは,2次元ないし3次元の座標のことを指す.
科学的可視化の特徴
・座標という特別な構造を持つ(データは座標をベースに分類できる.例えば,x-y-zの3軸のグラフは空間の座標に対応させて可視化する)
・可視化したい構造は明らか.→ どのように見せるか(How to visualize)(グラフの色や軸のスケールなどの見せ方)
情報可視化の特徴
・データは特別な構造を持たない(科学的可視化における座標に相当する属性はない.)
・可視化すべき構造は持たない.→ 何を見せるか(What to visualize) + どのように見せるか(How to visualize)(どの属性を可視化するか+見せ方)
情報可視化では,どういう構造で可視化するかを考える必要がある.
オーバービューとフォーカス
我々がデータを可視化する上では,オーバービューとフォーカスという2つの視点が必要となる.
・オーバービュー:
対象空間全体の可視化し,全体像や概略を眺める.
・フォーカス:
まず全体像を見る,次に絞り込んで近くでみる,さらに必要に応じて詳細を見る.
オーバービューの役割
情報可視化:
データ空間全体の情報(概略を知ことができる)
・属性値の範囲
・密集する部分空間
・特徴的構造(ネットワーク)
・データ分布
科学的可視化:
「フォーカスすべき情報」を発見するための手がかり
・情報アクセス支援
・曖昧,大まかな条件からの発見
・外れ値の発見
(第1回ここまで)